Dr.高須幹弥が解決! 鼻&美容整形相談室

2017年5月2日


美容整形はなぜ健康保険で受けられないのか?

今回は「美容整形はなぜ健康保険が使えないのか?」というご相談にお答えします。そもそも健康保険とはどんな仕組みなのかについても解説します。

私はすごく、すごく不細工です。不細工なせいで彼氏はいないし、女友達も少ないし、仕事の面接を受けても落とされてばかりです。私みたいな不細工な人は生きていてもつらいことばかりだと思います。病気で苦しんでいる人たちと同じように、不細工な人も苦しんでいます。先生、政治家になって美容整形が健康保険で受けられるようしてください

Dr.高須幹弥

■体が健康な人のための医療に健康保険は適用できない

この方と同じように「なんで美容整形は健康保険が利かないんですか。料金が高いじゃないですか」とおっしゃる人はよくいらっしゃいます。でも、それは仕方のないことです。

そもそも健康保険は、病気で苦しんでいる人のために皆で積み立てたお金や税金を使って助けるというシステムです。美容整形は「体は健康だけど、もっともっと幸せになりたい」という人が受ける医療、すなわち自分の欲望を満たすための治療です。ですから、それに健康保険を適用するということは残念ながらありません。この方は「不細工なのは病気で苦しんでいるのと同じだ」とおっしゃっていますが、少なくとも体は健康なわけです。病気の人たちと同じくくりにすることはできないですよね。

■健康保険は実は高い?

皆さん、「健康保険で受ける医療は安い」と思っていますが、そもそもそれは大きな間違い。実は見えないところでお金を払っているんです。

今、日本の医療費は年間で約40兆円かかっています。その内訳は、病院の窓口で支払っているお金がおよそ12%、国民や企業の積み立てた保険料が50%、残りの38%は税金で賄われています。病院に行った時、私たちはかかった医療費の3割程度のみを自己負担額として支払うので、「払った分しか自分たちは医療費を払っていない」=「健康保険の利く医療は安い」と錯覚するかもしれませんが、実は残りの医療費は別で納めている税金や保険料で払われているにすぎないのです。しかも、まったく病院に行っていない人でも税金や保険料は納めているわけですから、むしろ健康保険のほうが美容整形などの自費診療より、見方によっては不公平と言えるかもしれません。実際には不公平ではないのですが。

ご相談者さんの気持ちは分からなくないものの、そんなことを言ったら、生まれつき頭のいい人・悪い人や、お金持ちの裕福な家に生まれた人・貧しい家に生まれた人、優しい両親のもとに生まれた人・育児放棄するような親の下に生まれた人…など、誰だって公平不公平はあるわけです。言い出したらキリがないですよね。

健康保険というのはそういうシステムです。ですから、万が一僕が国会議員に立候補して「美容整形を健康保険で受けられるようにしたいです」と言っても誰も投票してくれないですし、そういうことはありえないということをご理解ください。